【誰でもわかる】北海道における家庭用太陽光発電について
今年に入り、ウクライナ侵攻や円安などの影響により、身の回りの色んな物の値段が高騰していますが、その中でもよく報道されているのが「電気代の値上がり」です。
この電気代の値上がりに対する懸念や、東京都の「太陽光発電義務化検討」などの影響から、今年に入り「太陽光発電」に注目して住宅検討をする人が全国的に増えています。
そんな訳なので、改めて「太陽光発電」について誰でもわかるように解説していきます。
※一般家庭で使用する前提で解説していきます。
目次
1.太陽光発電とは
太陽光発電とは、「太陽光のエネルギーを利用して発電する」ことを言います。
①太陽光発電をするために必要な物 ⇒ 太陽光電池(太陽光パネル)
②発電した電気を家庭で使用するために必要な物 ⇒ パワーコンディショナー(パワコン)
③発電した電気を貯めておくために必要な物 ⇒ 蓄電池
蓄電して夜間に使用することを考えない場合は、①と②だけでも十分ですね!
2.発電した電気の使いみちは?
発電した電力は、「余剰売電」と「全量売電」の2つの方法で活用することができます。
余剰売電 ⇒ 発電した電気を家庭で使用して、余った分を電力会社に買い取ってもらう方法
全量売電 ⇒ 発電した電気を全て電力会社に買い取ってもらう方法
以前は、全量売電の条件が緩く一般住宅で発電可能な容量でも全量売電が可能でしたが、現在では条件が変更となり、一般住宅では大容量といえる発電量がなければ全量売電を選択することができなくなりました。
3.太陽光発電の導入費用と維持費について
・太陽光発電システム(太陽光パネル&パワコン) ⇒ 28万円/kW
一般住宅の場合、3~5kWの容量を搭載することが多いので、84~140万円くらいが相場になります。
・蓄電池システム ⇒ 19万円/kW
5kWの場合約95万円、10kWの場合は190万円が相場になります。
・維持費
20年間5kWの設備を使用することを想定した場合、
定期点検5回 + パワコン交換1回 ⇒ 約3,690円/kW/年
年間:18,450円(月々約1,537円)が想定されるとされています。
4.発電量の目安
発電設備の〇kWとありますが、1kWあたり約1,000kWh発電することになります。
標準家庭の年間消費電力は、約4,800kWhとされていますので、5kW搭載することで年間の消費電力とほぼ同等の発電ができるということになります。
但し、地域や周辺環境、設置する方位、太陽光パネルの設置角度、設置機器等によって変わります。
北海道は積雪もあるため発電量に不安を思う人もいるかもしれませんが、12~2月までの冬季の発電量がゼロであっても想定発電量の約85%が確保できる試算もあるため、十分な発電量は確保できると考えられます。
予想発電量ついては導入時に試算してくれますので、販売会社等に依頼して確認してみましょう。
5.太陽光発電システムの設置方法
大きく分けると、
①屋根と太陽光パネルが一体になっている屋根材を設置する方法
②屋根に架台を設置して太陽光パネルを乗せて設置する方法
※写真はイメージです
この2つに分けることができます。住宅街などでよく見かけるのは②の方法が多く、日の当たる方向にパネルが並んでいる光景を1度は見たことがあるのではないでしょうか。
6.太陽光発電システムのメリット・デメリット
【メリット】
・電気料金を抑えることができる
・余剰電力を売却することで売電収入が得られる
・蓄電システムがあれば停電時も安心
【デメリット】
・導入費用が高い
・売電(買取)価格が以前よりも低い
・メンテナンス費用が掛かる
・北海道の場合、積雪で発電量が少ない&故障してしまう
一般的に言われているメリットとデメリットですが、このようなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。実は、太陽光発電が話題・普及し始めた10年前と比べて大きく変わった点が3つあり、その3つが
①導入・維持・修繕費用が安くなったこと
生産技術や需要が拡大したことにより、以前よりも発電システムの設置費用が大幅に安くなりました。2012年は46.5万円/kWが相場だったのが、現在では28万円/kWなので、10年前と比べて蓄電池システムを入れなくても約55~92万円ほど価格が異なります。
また、製品の性能が向上したことにより少ないパネルでも発電量が大きくなったことで必要なパネル数が少なくなったこと、足場がなくても設置できる方法も生まれたので施工費用も抑えられるようになりました。
さらに、現在では大きな架台を設置することなく、設置・交換・撤去時に屋根を傷つけることなく発電設備を設置できる方法も確立されたため、雪害による故障が少なくなり屋根に与えるダメージもほとんどないため、導入費用はもちろん維持・修繕費用まで抑えられるようになりました。
②売電(買取)価格が大幅に減少したこと
売電による買取価格が減少し、10年前は42円/kWだったのが2022年では17円/kW(10kW未満の場合)となっており大幅に減少しました。
以前と比較すると、「売電収入を目的」とした太陽光発電の導入は、確かにメリットが薄くなっています。
③消費電力数が減少していること
③電気代が高騰したこと
売電収入が以前よりも少なくなった一方で、電気代が高騰しています。
高騰の理由は様々ありますが、燃料費調整単価の高騰と調整制度の上限撤廃(北海道電力の場合は2022年12月から)が大きく電気代を引き上げる要因となっています。
※燃料費調整制度とは、発電にかかる燃料価格によって電気料金に加算したり差し引いたりする制度で、使用電力1kWh毎に計算されます。
北海道電力の2012年12月の調整単価は-0.4円だったのに対し、2022年12月は9.75円と10年前と比べて約10円//kWh高くなり、さらに再エネ賦課金制度(再生可能エネルギーで発電した電気を買い取る費用として電気の契約者全員が負担するもの)により2022年では使用電力1kWhあたり3.45円負担しています。
燃料費調整と再エネ賦課金を足すと、10年前と比べて1kWhあたり約13.5円値上がったことがわかります。
これらのことから、太陽光発電に対するメリットとデメリットを現在の状況にアップデートすることに加えて、考え方を変えて検討することが重要になっていきます。
7.北海道における太陽光発電の考え方
従来の太陽光発電に対する考え方は、
「太陽光発電を導入することで、どれだけ得をするか」でした。
導入費用が現在よりも高額ではありましたが、
10年前と現在を比較すると買取価格と電気料金の差額合計が39.5円/kWhもあったので、標準家庭の年間使用電力4800kWhで換算した場合、189,600円/年も現在と差額があったので十分に得をする目的で太陽光発電を導入検討することが可能でした。
一方で現在の場合、
「太陽光発電を導入することで、どれだけ家計の負担を減らすか」
「太陽光発電を導入することで、光熱費(ガソリン代含む)の更なる高騰のリスクに備える」
主にこの2つの考え方に変えていく必要があります。
特に北海道の場合は、電気やガス、灯油を問わず給湯・暖房のために大量の電気を消費します。10年前のオール電化住宅の場合、年間の消費電力は13,000kWh前後、最近のオール電化でも10,000kWh前後使用する場合もあります。また、灯油やガスの給湯・暖房であっても寒冷地用であることや外気温の関係から他地域よりも多くの電力を使用しますので、電気料金が高騰している現在は太陽光発電の導入により家計の負担を軽減することが期待できます。
しかしながら「(現時点の)家計の負担を軽減する」ことは、太陽光発電システムを導入するメリットの一つでしかありません。
一番重要なことは、「更なる高騰のリスクに備える」ことです。
電気やガス、灯油やガソリンの高騰は「円安」や「ウクライナ侵攻」が落ち着いても下がらない可能性が高く、むしろ高騰する可能性が非常に高いと考えられています。
その理由については別の記事にて別途ご紹介していきます。
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