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【住宅ニュース】2023年1月号

【住宅ニュース】2023年1月号

ブログ

今年から新たな取り組みとして、住宅業界の動きや最新情報についてニュースレターでお届けしています。

せっかくなので多くの人にも見て頂きたい、ということでブログでもお伝えしていきます!

目次

1.2023年1月住宅業界の主な動き

2.北海道電力の電気料金値上げの内容について

3.2022年全館空調VSガス光熱費の比較

4.2023年土地・建物価格の予想

1.2023年1月住宅業界の主な動き

【住宅省エネ2023キャンペーン開始】

国土交通省、経済産業省、環境省の3省による、住宅取得やリフォームに対する支援事業が開始されました。新築住宅を取得する場合は「こどもエコすまい支援事業」の対象となり、要件を満たすことにより100万円/戸の補助金を受け取ることができます。

◆主な要件

①ZEHレベルの高い省エネ性能を持つこと

②子育て世帯もしくは若者夫婦世帯であること

昨年までは、省エネ基準(断熱等級4/一次エネルギー消費量等級4)でも補助金が受けられましたが、昨今のエネルギー問題等からZEHレベル(断熱等級5/一次エネルギー消費量等級6)が必須となりました。

※太陽光発電設備等がなくても対象になります。

間は2023年3月下旬頃から開始され予算が上限に達するまでとなりますが、昨今の住宅業界においてZEHレベルの住宅は当たり前のようになってきているため、予算がなくなる前の申請がおススメです。

2.北海道電力の電気料金値上げの内容について

北海道電力は昨年末から1月にかけて電気料金値上げについて発表しました。またニュースなどでも料金の値上げや電気料金の高騰について報道していますが誤解を生むような報道がいくつも見受けられたので整理してみました。

「規制料金」と「自由料金」について

電気料金には主に2つの料金プランがあります。

規制料金・・・経済産業大臣の認可が必要、電力会社が自由に設定できない料金プラン

       ※従量電灯Bなど

自由料金・・・経済産業大臣の認可が不要、電力会社が自由に設定できる料金プラン

       ※エネとくポイントプラン/eタイプ3プラス/ドリーム8(受付終了)など

※北海道電力の契約プランを参考にしています。

12月の発表では規制料金の値上げ、1月26日のプレスリリースにより自由料金についても値上げされることが発表となりましたが、料金の値上げ幅は「規制料金」と「自由料金」で大きく異なります。

「規制料金」は34.87%、「自由料金」は11~14%の値上げ予定

ウクライナ情勢や昨年の円安により化石燃料の価格(燃料費)が高騰した影響で電気料金が値上がりを続けています。燃料費が高く(安く)なると「燃料費調整」という名目で電気料金に反映されますが、高くなりすぎた場合は反映させる金額に上限を設けてきました。

しかしながら、昨年8月で上限に達したことにより自由料金は上限を撤廃し高くなった分だけ電気料金に反映させていましたが、規制料金は上限が設定されたままでした。

北海道電力HPより

ウクライナ情勢や昨年の円安により化石燃料の価格(燃料費)が高騰した影響で電気料金が値上がりを続けています。燃料費が高く(安く)なると「燃料費調整」という名目で電気料金に反映されますが、高くなりすぎた場合は反映させる金額に上限を設けてきました。

しかしながら、昨年8月で上限に達したことにより自由料金は上限を撤廃し高くなった分だけ電気料金に反映させていましたが、規制料金は上限が設定されたままでした。

今回の値上げについては、現状の燃料費や卸電力価格などを新しい料金単価に組み込むイメージになりますので、既に上限撤廃分の料金を支払っている自由料金よりも上限設定されたままの「規制料金」の方が値上げ幅としては大きくなります。

【報道内容について】

「オール電化住宅の電気代が〇〇万円」さらに「料金値上げで30%以上料金が上がる」という報道がありますが、30%以上上昇するのは規制料金の方であり、オール電化住宅は自由料金で利用されている人が大多数のためそこまでの値上げ幅にはなりません。但し、自由料金も11月までは上限撤廃分を支払っていないため11月の料金体系と比較すると30%以上値上がる可能性も否定できません。報道では、自由料金の12月の電気料金を例にして更に30%以上上がるという報道もありましたので注意が必要です。

3.2022年全館空調VSガス光熱費の比較

当社でご建築頂いた方々の光熱費の実績値や平均値を「全館空調(エアコン1台)」「ガス併用住宅」「オール電化(10年前)」にわけてご紹介します。

ウクライナ情勢や円安などの影響により化石燃料が高騰し、住宅で使用する「灯油」「ガス」「電気」いずれも2021年と比較して大きく値上がりしています。どの家庭でも電気を使用するため、電気代高騰の報道が多いですが実はガスの値上がりも深刻となっています。

都市ガスを利用している家庭の光熱費は、

電気料金(2021年)158,424円/年 ⇒ 192,171円(2022年、+33,747円、約21.3%増加)

ガス料金(2021年)174,041円/年 ⇒ 269,809円(2022年、+95,768円、約55.0%増加)

このように電気料金よりもガス料金が大幅に上がっていることがわかります。

【ガス料金の値上げ幅が大きい理由】

都市ガス料金は原料となる「液化天然ガス」の価格、電気料金は液化天然ガスを含む「化石燃料」の価格などによって料金が大きく異なります。(以下の表は「北海道電力」と「北海道ガス」の公表値を基にしています)

上の図はガスと電気の燃料費(原料費)の比較を表していますが、どちらも2021年と比べて約2.4倍に膨れ上がっています。

電気の場合、火力発電以外にも水力や再生可能エネルギーなどの発電により、天然ガスを加工してつくられるガスと比較して燃料費が安価で済みます。

その結果、燃料費(原料費)の調整単価は電気使用量1kWhあたり9.75円(約4.86倍)、ガス使用量1㎥あたり69.21円(約11.53倍)と大きな差となっており、ガスの方が燃料(原料)価格の高騰による影響を大きく受ける結果となっています。

【全館空調の電気代は安い?】

当社で建築したお客様の電気代平均(全館空調/オール電化)は、

電気料金(2021年)191,462円/年 ⇒ 237,301円(2022年、+45,839円、約23.9%増加)

2021年よりも増加しており、燃料価格の高騰も原因の一つですが、札幌近郊の降雪量が増加(2020年11月~2021年3月までの降雪量331mm、2020年11月から2021年3月475mm)した結果、電気消費量が増加したことも要因として挙げられます。

それでも平均電気使用量は6,875kWhと従来のオール電化住宅の約半分となっており、月平均1万円台をキープしています。燃料費の高騰はあるものの、エネルギー消費量が少ない全館空調は他と比べて光熱費(電気代)が安く済むことがわかります。

4.2023年土地・建物価格の予想

この数年で土地・建物価格が大きく値上がりしていますが、今年はどのように変化していくのか、住設メーカー・不動産業者・金融機関の情報に加え、当社の実態も交えて定期的にお伝えしていきます。

土地価格は下落傾向の一方で依然として高い水準に留まる】

下記は札幌市の地価調査の推移ですが、土地の価格は住宅地・商業地ともに平成24年から上昇し続け、平成29年から大幅に上昇しています。主な要因としては、ホテル需要による商業地の価格上昇、道外企業のマンション建設需要、札幌市の人口増加による住宅需要(住宅地の減少)などが挙げられます。

令和4年地価調査概要(札幌市地価動向)より

2022年は注文住宅の着工棟数の大幅な減少に伴い、土地需要も落ち込んだため昨年後半から土地価格は下落傾向にあり今年もその影響は続くと考えられます。

「これまで住宅地の対象とならなかったエリア」や「形状が悪い・狭い土地」の価格高騰や活発な売買が落ち着きをみせ価格は下落していくと思われますが、一方で依然として駅徒歩圏や人気エリアにおいて建設可能な土地は多くないため、ある程度需要の高い土地は依然として高い水準に留まると思われます。

そのため、全体的には下落傾向であるものの大幅な下落には繋がらないと予想されます。

【建物価格がさらに上がる可能性も】

建物価格の高騰は、エネルギー問題や円安による建材・住設機器等の生産・物流コストの上昇やウッドショックが主な原因となっています。これらの動向が建物価格に大きな影響を与えることになりますが、新たな懸念材料が存在しています。

①コンクリート価格の上昇

石炭価格の高騰によりコンクリートの生産コストが上がり、コンクリート価格が昨年後半から一気に値上がりしています。コンクリート価格の上昇は今年に入っても続くと思われ、今年の値上げ第一回目は春頃が予想されています。

②物流業界の2024年問題の影響

働き方改革により物流業界の時間外労働時間の制限が2024年よりスタートします。現在の物流網を維持するためにコストアップが見込まれる状況です。

昨年後半に比べて円高水準になると予想されており建材や住設機器の価格は高い水準を保つと考えられる一方で、上記①・②の影響がどれほどでるかまだ予想できません。

木材価格については、ウッドショック当初より影響は軽減されている一方で高値購入による在庫が卸問屋でストックされていることや木材価格が未だ高い水準にあることを考えると木材価格が急降下するとも考えにくい状況ですが、値下げをしてくれている問屋さんもあるので会社によってはコストダウンを図れることもあります。

コストダウンに限界が来る会社も】

建物価格の上昇に対して、建売住宅の建築など一定の建物棟数を確保することで建材や人件費などの建築コストを抑えていた会社も数多くありますが、札幌では1年間に成約される建売住宅の数(1000戸以上)がそのまま売れずに残っており、建築コストの上昇も相まって、今年は例年よりも建売住宅が建築されない(できない)見込となっています。棟数確保によりコストを圧縮していた住宅会社はその限界が訪れ大幅な価格上昇を余儀なくされる場合もあります。

2025年に始まる「省エネ基準適合義務化」を前に、性能を落としてコスト維持を図る会社も出始める可能性があるので注意が必要です。


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