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【誰も教えてくれない】注文住宅の選び方

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注文住宅の選び方

注文住宅を検討する際に、ネットでハウスメーカーや工務店を探して、資料請求やモデルハウスを見学して、プランや価格、住宅性能やデザインなどを比較して最終的に「この会社にお願いしよう!」となると思いますが、実は多くの方が見逃していることがあります。

それは、「お家が完成するまでのプロセスが各社で異なる」ということです。特に北海道で注文住宅を建てる方は必ず知っておくべき内容です。

どういうこと?と思うかもしれませんが、これを知ると住宅会社選びを根本から見直さなければいけないかもしれません。本日は「誰も教えてくれない注文住宅の選び方」について解説していきます。

目次

1.住宅が完成するまでの流れ

2.住宅建築に関する法律と法律から考える選び方

3.住宅建築に関する制度と制度から考える選び方

4.住宅性能と住宅性能から考える選び方

5.住宅の選び方(まとめ)

1.住宅が完成するまでの流れ

なぜプロセスが大切なのか、完成までの基本的な流れについて知るとその重要性がよくわかります。プランや仕様を決めたりなど色々ありますが重要なポイントは着工前から完成までのお話になります。

簡単に説明すると住宅が完成するまでの流れは、

STEP① 建築確認申請    ⇒ 建築の許可をもらう

STEP② 中間検査      ⇒ 建築中の検査 

STEP③ 完了検査・社内検査 ⇒ 完成後の検査、社内の検査

以上です・・・驚きですよね。これだけで完成してしまいます。もう少し詳しく説明すると下記の表のようになります。

まずはじめに、建築確認申請(=この土地にこんな住宅建てたい)という許可を建築主事(建築行政全般を司る機関)がある地方公共団体(=特定行政庁)から得ます。建築士が設計した建物(主に戸建)や型式適合認定を受けた住宅(主にハウスメーカーの戸建)については、構造計算などの審査内容を一部省略可能です。

次に、中間検査ですが建築途中に申請通りに建てられているか確認していきます。この中間検査は、自治体によって義務付けられていない地域も多くあり、戸建(主に2階建以下)などの場合、北海道や札幌市では義務ではありませんが大阪府では義務とされています。北海道住宅局建築指導課札幌市HP大阪府HP

最後に完了検査ですが、建築確認申請の内容と相違ないか現地確認を行います。ここでも、建築士が設計した建物や型式適合認定を受けた住宅については審査内容を一部省略可能です。

その他に、建築中や完了後などのタイミングで社内検査を行うというのが基本的な流れになります。

ここで皆さん疑問に思いますよね・・・「ほとんど省略可能で検査は実質完成時のみ・・・それで本当に大丈夫?」と。実は全く大丈夫ではなく、欠陥住宅や不具合はもちろん、過去には確認申請時とは別の建築物が建てられたりなど様々な問題が起きていました。それでもなお、上記のプロセスで住宅の建築が可能になっています。一方で、安心安全で高性能な住宅を建てられる法律や制度が充実しているのも事実です。そのため、個人個人が住宅建築に関わる法律や制度を理解した上で、どのようなプロセスを経て住宅を建てている会社なのかを知ることが住宅会社を選ぶ上で重要となります。ということで、法律や制度、そしてどのように選んだらよいのかを解説していきます。

2.住宅建築に関する法律と法律から考える選び方

住宅建築に関する法律は主に3つありますが、新築住宅を建築する際は「最低限の基準をクリアし、事業者による10年間の保証と保証のための担保が必要」になります。以下の3つはその内容について定めた法律です。

①建築基準法(建築基準関係規定)

住宅を建てる上で最低限の条件を示した法律です。住宅を建てる際に様々な規定があります。仕様規定と呼ばれる建物の規定(耐震や防火など)もあれば、敷地(隣地や道路など)に関する規定、更に地域ごとの決まり(条例や協定など)があり、それらをまとめて建築基準法(建築基準関係規定)と呼びます。

②住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)

主に、住宅の品質に関する保証を定めた法律です。新築住宅の場合、「構造上主要な部分(基礎や柱など)」と「雨水の侵入を防止する部分(屋根や外壁など)」に対して引渡しから10年間の保証責任が住宅事業者にあります。他にも、住宅性能表示制度や指定住宅紛争処理機関の整備について定めています。

③特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(通称:住宅瑕疵担保履行法)

住宅取得者に対する住宅事業者の保証方法について定めた法律です。住宅事業者には上記②の通り10年間の保証責任がありますが、その保証の担保として「保証金の供託」か「かし保険の加入」のどちらかを行う義務があります。

 

どのような住宅でも「①最低基準をクリア」と「②保証義務」がありますが、「③保証方法(保証の担保)」によって建築プロセスが変わります。保証の担保方法は以下の2通りになります。

内容について異なる部分も多いですが、一番の違いは「現場検査の有無」です。かし保険加入の場合、第三者機関(指定保険法人が指定する検査機関)により中間・完了検査(一般的に第三者検査と呼ばれるもの)が行われますが、保証金の供託の場合は義務ではありません。この検査を行うことで、基準をクリアしている住宅であることを客観的に認められている状態と言えますので、かし保険の検査を受けられる住宅会社であることは最低条件となるでしょう。

3.住宅建築に関する制度と制度から考える選び方

かし保険の検査だけで十分か?と言われたら、間違いなく「いいえ」と答えることになります。あくまで法律で定められた基準をクリアするためのもので「住宅の性能に対する評価や検査ではない」からです。現代では行っていて当たり前として認識されています。

それでは住宅の性能に対する制度とは何か?実はこれも先ほどの品確法により定められています。

よく耐震等級3級や断熱等級6級など色々聞くと思いますが、住宅性能表示制度によって基準や表示方法が全て定められています。更に、〇〇等級△級!と言えるのは「住宅性能評価機関による性能評価」を受けた場合のみです。この性能評価項目は10分野33項目ありますが、その中でも重要な事項については評価を受ける際の必須評価項目となっており、戸建の場合は下記の通りとなります。

このように細かく項目や基準を設けることにより住宅性能をわかりやすくしています。どのような住宅でも法的に適合している場合は評価を受けることができ、最低基準が1級(建築基準法適合ライン)となっています。※各等級の詳しい内容については一般社団法人住宅性能評価・表示協会発行資料で紹介しています。

建築基準法の適合ラインである1級の中には、数十年前の住宅の水準に合わせて決定された基準も多く含まれています。性能が向上している現代に、最低基準の性能で評価を受けることは低性能な住宅であることを明らかにするようなものであり住宅事業者としては避けたいため、裏を返せば性能評価を取得する=一定の性能を有していると判断できます。また、性能評価書を添付して契約、もしくは性能評価を取得・交付する前提で契約した場合、建築される住宅はその性能を有していなければ契約違反となるため安心にも繋がります。そのため、性能評価制度を利用できる住宅会社を選ぶことが大切になります。

4.住宅性能と住宅性能から考える選び方

それでは、性能評価を取得している住宅会社であれば十分か?と聞かれたら、これも間違いなく「いいえ」と答えることになります。制度開始当時であれば良かったかもしれませんが、その間に工法の発展や建材の性能向上などが進み、現代では高性能住宅の実現は以前よりもハードルが下がっています。実際に、2025年には省エネ基準の適合義務化、遅くても2030年までにはZEH基準の適合義務化が予定されている程です。高性能住宅の普及に向けて、ZEHや長期優良住宅、BELSなどの新たな評価・認定制度が2000年以降創設されています。下記は主な評価・認定制度の一覧です。

【設計性能評価】

性能が低くても評価を受けることができ、設計段階においてどのような住宅性能を持っているかわかります。

【BELS】

一次エネルギー消費量と断熱性能に特化した認証制度で、ZEHの表示や認定を受ける場合は必ず☆5以上の認定が必要となります。

【長期優良住宅】

全般的に高い基準をクリアした高性能な住宅に対して所管行政庁が行う認定制度です。

【建設性能評価】

設計性能評価に基づき、その性能を有しているか現場検査によって評価する制度です。

住宅の性能を評価・認定する主な制度は上記のようになっており、長期優良住宅やZEH(BELS☆5)の認定を受けられる住宅が現時点における高性能住宅という位置づけになります。ではどこまで認定を受けたらいいの?という話ですが、

①BELS(☆5)

BELS☆5の基本的な認定条件は「断熱等性能等級5以上+一次エネルギー消費量等級6」となっており、ZEHレベルの断熱性能とエネルギー消費量を持つ住宅であると設計段階で認定を受けることになり、現行の補助金制度の対象と2024年以降も一定の住宅ローン控除の恩恵を受けることができます。都心部などの狭小地や北海道などの多雪地域は再エネ設備がなくてもZEH認定を受けられます。

②長期優良住宅

上記に加え、耐震等級や劣化対策等級などより多くの性能に対し評価し、長期に渡り良好な状態で使用するための措置が取られている住宅であると認定を受けることになります。住宅ローン控除の上限額の引き上げや固定資産税の軽減措置の延長など、多くの優遇措置があります。

③BELS(☆5)+長期優良住宅

上記①と②のメリットに加え、認定機関が異なり客観的な審査が増えることで性能に対する信憑性が増します。また、住宅を資産として考える際に価格査定(主に現価計算)で大きな差が生まれるため2~30年後に建物の価値がないと判断される可能性が低いこと、更に広告時に長期優良住宅やZEHと公開できるため、早期売却にも期待できます。

ハードルが高いように思えるかもしれませんが、最低でも①、出来れば②~③は認定を受けることが必須と考える時代に突入しています。下記は2016年から2023年3月までの建築着工統計調査一般社団法人住宅性能評価・表示協会HP長期優良住宅制度に係る審査実績戸数に基づく統計結果をまとめたものです。※北海道の木造戸建住宅(持家・分譲)の統計結果、2023年の着工棟数は北海道住宅通信より

2022年10月施行の法改正、補助金対象の住宅要件の厳格化、2030年までのZEH基準義務化など様々な要因がありますが、今年に入り急激に認定住宅の件数が増加しています。2023年1月から3月までに着工された住宅のうち、長期優良住宅は3件に1件以上、BELSについては約半数が認定を受けていることから高性能住宅のハードルは高くない(=低価格でも実現できる)ことが明らかになっています。特に冬の寒さが厳しい北海道では断熱性能が高性能であることは必須で、光熱費が高騰している現代では一次エネルギー消費量が抑えられる住宅を考えていく必要があります。これらのことから、最低でも①、出来れば②以上と考えるのが妥当だと思われます。

そして、何より重要なのは「建設性能評価」を受けることです。建設性能評価は、設計性能評価で評価された住宅性能が施工段階と完成段階で確実に有しているか否かを確認するもので、BELS・ZEH・長期優良住宅は設計段階における認定のため現場検査がありません。そのため、いくら認定を受けても本当にその性能を有しているかどうかは別の話になります。

建設性能評価の検査の内容は、「設計図書通りの建材が使用されているか」「場所ごとで定められた釘の本数が規定の間隔や位置で打たれているか」「テーピングにしわがないか」など、数時間に及ぶ検査が施工段階から完成時まで4回実施されます。現地や写真でも確認できない箇所は施工済であっても解体して確認を行ったり、指摘箇所については必ず是正しなければならず、最悪の場合全てやり直しということもあります。これほどまでの検査は、社内検査や法令・瑕疵保険適用の検査では行わないため、別格で厳しい検査となっています。

全国における建設性能評価の交付件数は2022年度で80,774件(2022年新築持家・分譲木造戸建住宅399,279戸)と全体の20.23%になっています。着工戸数に対して交付件数が10%未満の都道府県は僅か10の地域となっており、5%未満は3つで、なんと北海道は全国ワースト1の交付率となっています。つまり、全国平均では住宅100戸のうち20戸は建設性能評価を受けているにも関わらず、北海道では100戸に対し3戸しか受けていないことになります。今年に入り7%を超える取得率となっていますが、それでも100戸に7戸とまだまだ少ない水準です。そのため、高性能な住宅を設計し認定を受け、さらに第三者機関による現場検査を受けることが重要です。

5.住宅の選び方(まとめ)

ここまで住宅建築に関わる法律や制度、住宅性能についてお伝えしていきましたが、まとめると下記のようになります。

①瑕疵保険に加入すること

瑕疵保険に加入することで、建築基準法関係の適合検査や建築途中の検査が第三者機関により実施され、更に万が一の場合の保証金額がしっかりと確保されます。

②長期優良住宅の認定&建設性能評価の取得

高性能住宅のハードルが下がっているため、住宅性能は長期優良住宅レベルまで引き上げることが望ましいです。更に、住宅性能を有しているか複数の現場検査で確認を行う建設性能評価の取得も必ず行いましょう。

③断熱等性能等級6以上(北海道の場合)

北海道の場合、上記2点に加えて断熱等級6(以上)を目指しましょう。こちらでも紹介していますが、現在の工法や建材では断熱等級7の実現は間取りなどの制限やコストの大幅上昇がネックですが、断熱等級6は十分実現可能であり施工単価が大きく跳ね上がらないことがわかっています。また、4級と5級ではガラスの変更(複層から三層)程度で実現可能なため5級になったからと言って6級以上と比べると大きな断熱効果は期待できません。

※国土交通省:③住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度におけるZEH水準を上回る等級について

以上のことから、北海道の場合は断熱等級6以上を目安にした方が良いでしょう。

住宅会社を選ぶ際は、上記の条件をクリアできることを確認していきましょう。その上で、「価格」「デザイン」など比較していくことをおすすめします。「瑕疵保険加入」は大多数の会社が標準で行っており、長期優良住宅への対応を進めている会社も増えているので特に難しくはありません。一方で、建設性能評価については取り組む会社が多くないため住宅会社に対応可能か聞いてみる必要があります。対応できない理由は、単純に経験がなくわからないという可能性もありますが「面倒くさい」「工期が遅れる」「性能保証できない」という理由が考えられるので、住宅会社を検討し直す必要があるかもしれません。

後悔しないためにも、設計段階から完成に至るまで第三者機関による認定・検査が行われるプロセスで住宅を考えることが大切ですね。


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